グロービス経営大学院卒業生アンケート2018考察1

最近めっきり更新が減ったクマトロニクス21です(ごめんなさい)。

さて、グロービス経営大学院が最新の卒業生アンケート結果を公開しました。グロービスのように卒業生の追跡調査を行い、しかも定量的なデータとして公開している学校は日本ではとてもめずらしいため、大変興味深いレポートだと思います。

今回の見どころは、卒業生の年収の変化を他のデータと比較して考察を加えている点です。具体的には、転職サービスdodaの平均年収ランキング2017と比較しています。前回までのレポートではこうした比較がなかったため、グロービスを卒業した場合としなかった場合の差異がわかりませんでした。

レポートの中ではこのように書かれています。

仮にDODA集計(※)による年齢ごと平均年収の差分を同年代ビジネスパーソンの年収増加とした場合、35歳から39歳では7.1%、40歳から44歳では5.8%であり、グロービスの卒業生では各年代で約5倍の大きな上昇率を示す。

(赤アンダーラインは筆者が書きました)

当然ながら、収入が人生の全てではありませんが、生きていくうえで重要な要素の一つであることは間違いありません。同年代ビジネスパーソンの収入の増分と比較して5倍も高いとは、とても素晴らしい結果のように見えます。
ところで、アンケートの目的がグロービスで学んだことによる効果測定とするのであれば、同じ人が同じ環境でグロービスで学んだ場合とグロービスで学ばなかった場合で比較できれば確実に効果が測れます。しかしそのようなことは当然不可能なので、できるだけ近いデータと比較することで代替とせざるをえません。今回のレポートは、dodaの集計を代替としていますが、はたして「近いデータ」なのでしょうか。グロービスの学生プロファイルdodaの会員プロファイルを比べてみましょう。

性別

グロービス doda
男性 76% 62%
女性 24% 38%

グロービスのほうが多少男性が多いようですが、それほど大きな差はないようです。

年代

グロービス doda
20代 11.4% 50.4%
30代 57.0% 30.3%
40代以上 31.6% 19.4%

グロービスが30代が6割弱なのに対し、dodaは20代が5割。年齢層はグロービスのほうが高いようです。

職種

両者の分類が多少異なるため、若干補正をしております。職種はわかりやすい違いがでました。

グロービス doda
販売・サービス職 1.0% 20.0% -19.0%
事務・アシスタント 1.0% 14.2% -13.2%
クリエイター・クリエイティブ職 1.0% 3.9% -2.9%
営業職 26.0% 21.2% 4.8%
医療系専門職 11.0% 6.7% 4.3%
公務員・教員・農林水産関連職
専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人) 2.0% 1.0% 1.0%
技術職(機械・電気) 17.0% 23.2% -6.2%
技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)
技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント・工場)
技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)
技術職(食品・香料・飼料)
技術職(組み込みソフトウェア)
金融系専門職 11.0% 0.7% 10.3%
企画・管理 30.0% 9.0% 21.0%

dodaはグロービスと比較して販売・サービス職、事務・アシスタントが多くを占めているのに対し、グロービスはdodaと比較して企画・管理・金融系専門職が多くなっています。さて、ここでこれら職種の平均年収と、全職種との平均年収の差を見てみましょう。

平均年収(万円) 全職種平均との差(万円)
販売・サービス職 326 -92
事務・アシスタント 329 -89
企画・管理 520 102
金融系専門職 425 7

平均年収と全職種平均(418万円)はdudaの値を採用。

全職種平均と比べ、dodaが多い方は平均年収が低くグロービスが多い方は平均年収が高くなっています。つまり、グロービスの学生のほうが年収が高いのです。

ここからがポイントとなります。年収が高いということは、年収の上り幅も大きい、ということが言えます。

(その2へ続く)

<2018/10/22追記>
引用元のつづりが誤っておりました。関係者の方々には大変失礼いたしました。本文中の表記を訂正するとともに、ここにお詫び申し上げます。
(誤)duda
(正)doda
なお、パーソルキャリア株式会社は転職サービスのブランドである「DODA」を2018年10月16日に「doda」にリブランディングしましたので、本稿では後者に合わせて表記しております。