【その7(完)】これ本当?『国内MBAの半分は定員割れの「限界スクール」。 法科大学院に続き淘汰の波』

さて最終回です。

まず【その2】では、近年のMBAと法科大学院の専攻数、及び入学者数の推移を比較しました。その結果、専攻数については法科大学院が下降の一途をたどっているのに対し、ビジネス・MOTはほぼ平行推移していました。また、入学者数については、ビジネス・MOTが増え続けていることがわかりました。

次に【その3】では、2015年時点のデータを用いて、MBA/MOTの計77校のうち、定員充足率1.0未満が37校、定員充足率1.0以上が40校と、ビジネススクールによって学生の集まり具合に偏りがあることを示しました。

【その4】ではビジネススクールを定員充足率1.0未満と定員充足率1.0以上の2群に分けて群間で各項目の平均の差について有意水準5%でウェルチのt検定をしたところ、国公立か私立かの「設置区分」、「経営学科研費平均件数(件/年)」、「中京大都市圏」で有意差が認められました。

【その5】では各専攻の設置場所によって、定員割れと定員充足の差の説明を試みましたが、とくにめぼしい差は見とれませんでした。

【その6】ではGoogleトレンドの検索数推移について、MBAと法科大学院を比べましたが、特に差の説明はできませんでした。

ここ2~3年における増減

最後に、ここ2~3年における新設(増員)と募集停止の専攻と増減数を示します。

新設(増員)

  • 県立広島大 2016年~ +25名
  • 大阪市立大 都市経営研究科 2018年~ +56名
  • 事業構想大学院 大阪・福岡 2018年~ +40名
  • 社会情報大学院 2017年~ +40名
  • 首都大学東京 経営学研究科経営学専攻 2018年~ +10名
  • グロービス 2018年~ +164名

計335名

募集停止

  • 大阪市立大 都市創造研究科 ~2017年 -110名
  • 中京大 ~2016年 -30名
  • 南山大 ~2016年 -40名
  • 芝浦工大 ~2016年 -28名
  • 新潟大 ~2016年 -20名

計228名

結論

『国内MBAの半分は定員割れの「限界スクール」。法科大学院に続き淘汰の波』について、『国内MBAの半分は定員割れの「限界スクール」』は正しいといえます。しかし『法科大学院に続き淘汰の波』はそうと言えるエビデンスがみつからず、むしろ淘汰どころか増殖しているといえるエビデンスが揃いました。よって本ブログは、国内MBAの淘汰の波は今のところきている可能性は低いという結論を主張いたします。

今後の課題としては、解明しきれていない定員割れ専攻と定員充足専攻の差、募集停止した専攻と募集停止していない専攻の差について、あらわにできればと考えます。