グロービス経営大学院特集2

前回はグロービスが実践性を重視している象徴として、自校の広報戦略の一例をご紹介しました。今回も同じくグロービス自身の戦略から、彼らが実践性を如何に重視しているかについて紐解いてみます。今回はグロービスが、年に何十回も開催される学校説明会に行動経済学の誘導承諾理論を応用して、学生を入学に誘導している事例をご紹介します。

体験授業

学校説明会では、体験授業が開かれます。この授業はグループディスカッションが中心で、自然と5~6名の小グループが形成されるようになっています。グル-プの机の上には、ちょっとしたお菓子や飲み物が用意してあります。これは、「返報性の原理」を利用した誘導承諾の応用例です。人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱きます。この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得ようと試みていると考えられます。

体験授業が終わった後、グロービスの単科生制度が紹介されます。単科生制度の特徴は、MBAの基礎科目を入学せずとも受講できるところです。体験授業の参加者には単科生コース募集の用紙が配られるのですが、そこにはすべての単科生科目の残り予約可能数が書かれており、いくつかは既に締め切られています。これは「希少性の法則」によって、例え必ずしも必要でなくても「このチャンスを逃すともう無い」と思わせることによって飛びついてしまう人間の心理を応用しています。

また単科生制度を利用すると、後日正式に入学した場合、取得した単位を修了単位に編入可能な仕組みが採用されています。これは「埋没コスト効果」によって、一度投資したコストは回収しなければいけないという人間の心理に訴えかけ、正式入学を促すように設計されていると考えられます。

さらに単科生コースにその場で予約すると、経営学の本がプレゼントされます。これも先に述べた「返報性の原理」の応用例です。

単科生科目で最も人気なのが、クリティカル・シンキングだそうです。参加者は説明会において、正式に入学する学生の大部分はまずこの科目を単科生として受講してから入学する、という説明を受けます。これは「社会的証明原理」を利用して、人が他人の行動を基準にして物事を決定する傾向にあり、状況が理解できないほどその傾向が強くなる、という心理を突いて申し込みを促している事例です。

アンケート

最後にアンケートを記入するのですが、このアンケートには入学を前向きに促す質問項目と選択肢がふんだんに含まれています。これは「コミットメントと一貫性の法則」によって、人間は自分が一度コミットしたこと(取った行動)に対して、一貫性を保とうとする心理を突いていると考えられます。アンケートで入学に対し前向きに「コミット」したことによって一貫性を保とうとする人間の心理を利用し、入学への決意を促しています。

アンケートを記入したあとは、グロービス職員がグループ毎に張り付いて、単科生科目の応募について丁寧に質問に答えます。これも、相手の行動に対する「返報性の原理」を応用しています。

ざっと書きましたが、このようにたかだか2~3時間の学校説明会にも、相当な量の行動経済学を応用した誘導承諾理論を取り入れています。このような学生募集の手法は、一般の大学では到底思いつきませんし、実行もできません。理論を理論としてほっておかず、実践することに注力している証左だと思います。

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